『ぼくと彼女に降る夜 ナイトサクセサー〜夜を継ぐ者』読了

ここまで誠実な小説は読んだコトがありません。
元来フィクションにおけるリアリティとは詐術である。
描かれているコトを、あたかも現実の様に錯覚させるためのモノ。
ですが、この小説には一切それらの詐術がないのです。
先の読めた展開、感情移入できないキャラ、現実感のない会話etc...
これらがフィクションであることを騙す気のない様は、
まさに作者の姿勢が紳士的であるといえるでしょう。


そして優れた倫理観をもってヒロインの戦意に水を指す主人公と、
敵役である幼女のグロテスクな末期。
これは過剰な暴力描写に対する警鐘なのかもしれません。


嘘や偽りにウンザリしているヒトは是非、手にとって見てください。

ただ文句をブーたれてもツマラナイので某スレみたいに褒めちぎってみました。
褒めちぎるのも中々に難しいですね。


時間だけはあったのですが読み勧めるのに苦労しました。
開いてはつまらなくなって本を閉じ、開いては閉じ。
一日、50ページ進めば良いほうでしょう。


ただ、『先生』の最後の言葉次第では化けるかと。
主人公ナイトが、第五乖法こそ目的があるコトを悟らせずにヨルと共闘し、
自分の願望のためにヒロインを騙すダークヒーロになれば面白いかも。
まあ、騙すコトの葛藤に忸怩するヘタレが出来上がるのが関の山でしょうが。


どうやら2巻も出ている様です。自分は買いませんが。